■ 透析を受けての生活は?
透析を受けての生活とは、どのようなものでしょうか。当院では、250名あまりの方が透析を受けています。今回は、透析を受けての生活が、どのようなものか、医学的側面よりも生活面を中心にお話したいと思います。
腎臓が悪くなると尿が出なくなるため、いろいろな症状が出てきます。尿量は十分あっても、成分的に尿の役割を果たしていないこともあります。すると、食欲がおちて食事ができなくなったり、貧血で目まいや息切れがしたり気分が悪くなるなど、さまざまな症状が現れます。
しかし透析するとウソのようにそれらの症状が改善し元気を取りもどします。「こんなに楽になるんだったらもう少し早く透析を始めておけばよかった」と話される方も大勢います。
透析というのはどんな治療でしょうか?

ごく簡単にお話します。腎臓の働きの変わりを透析器を使って行なうことです。体の中の老廃物(食べ物のカス)や余分な水分を体の外へ取り除きます。尿が出ているのと同じ状態になるので体調が改善されてきます。透析器に血液を通して行なう方法を、血液透析と呼びます。一回の透析時問は四〜五時問、一週問に三回で、約十五時間です。
もう一つ、透析の方法があります。お腹の中にある腹膜という膜を使って透析液を交通させる方法で、腹膜透析と呼びます。毎日、自分で自宅でおこなうので、病院に通うのは一月に二回程度です。時問に束縛されないので、仕事の合問に行なうことができます。行動は、血液透析より自由で、お風呂はもちろん、水泳を楽しむ方もいらっしゃいます。
食事について
腎臓は二十四時問フルに働いていますが、血液透析では時問も効率も限られており、腎臓の働きを十分代行することはできません。そのために食事の調節があります。基本的には何を食べてもよいのですが、大切なのは透析に見合う量を摂ることです。量を守り、食べ過ぎと水分のとりすぎを注意すれば、透析食はむしろ健康食といえます。ただし、カリウムなど、料理方法に若干の工夫が必要なものもあります。
透析を受けての生活は
当院では、朝から昼過ぎまでの昼の時間帯と、日中仕事をされている方のために、夕方からの夜問透析を行っています。透析を、受けなければならなくなったイコール仕事ができないとして、仕事をやめる必要はありません。多くの方が、仕事をしながら透析を受けています。むしろ、有意義な生活を続ける意味でも、仕事はできるだけ続けて欲しいと思います。
透析中は、各自に一台のテレビがありますので、お好きな番組を見ることができます。新聞を読んだり、本を読まれたり、お隣同士やスタッフと雑談したりして、にぎやかに過ごされる方もいます。もちろん、透析中お休みになられる方もいます。
日本で透析歴三十五年の方が、最長記録の更新中です。当院では、透析歴二十九年の方をはじめ二十年以上の方が、三十八名いらっしゃいます。同じ病気で、長年にわたる治療でのお付き合いで、お互いが良く知り合っており、アドバイスしあったり、励ましあう言葉が聞かれます。
旅行にも
透析を受けたら、旅行にも出かけられなくなるのではないかと思われるかもしれません。毎年、ご夫婦で海外旅行に出かける方もいます。出張で頻回に県内外へ出かけ、行き先で臨時に透析を受けることが普通の事になっている方もいます。当院でも、毎年何人もの本土からの沖縄旅行を楽しむ旅行者のために、臨時の透析を受け入れています。また、アメリカ、台湾からの旅行者を迎え入れたこともあります。
めでたく妊娠・出産し、育児に励んでいる方もいらっしゃいます。皆さん、各々のライフスタイルを築いています。
治療費は
透析は一月に約四十万円という、高額な治療費がかかりますが、社会保障制度が整っており、個人への大きな負担はありません。実際に自分で支払うのは、どんなに高い方でも一万円足らずです。
でもこれらの制度を受けることができるのは国民健康保険などの基礎保険に加入していることが条件です。必ず入るようにしましょう。杜会保障制度については、ケースワーカーが、お手伝いします。

腎臓が悪くなって透析をしなければならないと言われたとき、「聞いた事もない未知の世界であり怖かった」「なかなか、透析の決心がつかなかった」「もうだめ、死ぬかと思った・・」というような声をよく耳にします。
でも以上述べたように、透析によって支えられ日常生活に多少の制限はあるものの、今までと変わらない社会生活を送ることができます。
私たちスタッフも、医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士など、多くの職種が透析医療に携わっています。長年、透析医療に関わってきたベテランのスタッフも、大勢いますが、さらに皆様が安心して、透析医療が継続できますようサポートしてゆきたいと思います。
